このDVDは、2013年9月15日、東京都品川区 TKP目黒ビジネスセンター304号室にて、午後1時半から3時半過ぎまでの約2時間にわたり開催された、藤森かよこ氏(福山市立大学都市経営学部教授)の講演会の模様を収録したものです。
※藤森かよこ氏の2012年講演DVD「アメリカにおけるアイン・ランド受容がつきつける日本のRanderたちへの課題」とは、独立した内容です。2012年講演DVDをご覧いただいていない方でも、まったく支障なくお楽しみいただけます。
藤森かよこ氏「アキラのランド節」[07/15/2013]より
《百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』は、私は、いわば、いかにも日本的な『肩をすくめないアトラス』だと思っている。百田氏の小説に出てくるアトラスたちは、肩をすくめないんだ。山脈深くに新世界も構築しない。〔‥‥〕私は、この百田氏の小説と『肩をすくめるアトラス』を比較することによって、なぜ日本人読者にアイン・ランドが理解されがたいかを明らかにしたい。しかし、だからこそ、日本人にとってアイン・ランドを読むことは意義があるということも、訴えたい。》
『水源』(The Fountainhead、1943年)と並ぶアイン・ランドの最高傑作である長編SFミステリー思想小説、『肩をすくめるアトラス』(Atlas Shrugged、1957年)。
アメリカでは出版から50年以上、作者の死去から30年以上経た今も、この大長編は市井の人々の思想に大きな影響を与え続け、その読者数はむしろ今世紀に入って急増しています。
1980年代を通じて平均7万部程度だった同書の年間販売部数は、1990年代には平均9万5千部、2001年には13万部、2007年には18万5千部と徐々に増え続け、2007年の金融危機後は爆発的に増大、2009年には50万部を突破しました。
1991年にアメリカ議会図書館と米国最大の書籍通販組織「ブック・オブ・ザ・マンス・クラブ」が同クラブ会員を対象に行った調査で、『肩をすくめるアトラス』は、「人生で最も影響を受けた本」として聖書に次ぎ2番目に多くの票を集めています。
1998年にアメリカで一般読者20万人以上の投票に基づいて選出された、「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」の第1位が『肩をすくめるアトラス』でした。
アメリカではこれほど大きな知名度と影響力を持ち続けているこの小説も、日本では、いまだ存在を知る人さえまれです。
その巨大なスケールのストーリーに沿って展開される、高度かつ広大な領域にわたる思想を正しく日本語化することの困難さから、発表から半世紀を経た2004年まで邦訳が現れなかったことも、その原因の一つでしょう。
ようやく2004年に出版された邦訳も定価が6,000円(+税)と、相当の本好きでも購入を躊躇する価格帯だったことも原因だったでしょう。
思い切って入手してはみたものの、高度な政治思想・人生思想を紡ぎ出すストーリーを2段組で1200ページ以上にわたって読み通すことに、挫折した読者も多かったかもしれません。
しかし、この作品が日本でいまだに受容されてない原因は、これらだけではないはずです。
作者ランドがこの作品に込めた思想自体に、日本人による受容を阻害する原因があることは否定できません。
ランドのもう一つの代表作『水源』の訳者であり、日本におけるアイン・ランド研究の第一人者である藤森かよこ氏も、2001年に原書で読んだ時から、この作品には違和感を覚え続けていました。
違和感の正体がつかめないまま12年が過ぎた2013年、藤森氏は、百田尚樹氏の小説『海賊とよばれた男』と出会います。
『海賊とよばれた男』を読んで藤森氏は、『肩をすくめるアトラス』に覚えていた違和感の正体がはじめてわかったといいます。
この講演では、藤森氏が『肩をすくめるアトラス』のストーリーを紹介した上で、ランドの思想を浮き彫りにする登場人物たちの発言の数々を、現代の日本社会のあり方にも引き寄せつつ、具体的に検討します。
さらに、藤森氏がこの作品に感じ続けてきた“違和感”と、百田尚樹氏のベストセラー小説『海賊とよばれた男』との対比で明らかになった“違和感”の正体を、楽しく、わかりやすく、情熱を込めて解説します。
『肩をすくめるアトラス』をまだ読んでいない方も、読もうとして挫折した方も、この講演を視聴することで、この長大な作品に込められた思想の骨格を、頭の中に生き生きと描くことができるでしょう。
今の日本に生きる私たちにとってこの作品が持つ意義を感得できるでしょう。
アメリカで「聖書に次いで人々の人生に影響を与えた」とされる小説のエッセンスを知る上でも、21世紀の日本と日本人のあり方を考える上でも、ぜひ視聴していただきたい講演です。
※『肩をすくめるアトラス』・『海賊とよばれた男』を読まなくてもお楽しみいただける内容です。
(このDVDのスクリーンショットではなく、別途撮影した写真です)
講演本編のチャプター構成は、次のようになっています。
1. | イントロダクション |
2. | フランク・オコナーとアラン・グリーンスパンの写真を見ながら |
3. | 今回の講演内容 |
4. | 『肩をすくめるアトラス』翻訳は大偉業 |
5. | 関連日本語論文の探し方 |
6. | 『肩をすくめるアトラス』あらすじ |
7. | 『肩をすくめるアトラス』登場人物の台詞と心理で構成するアイン・ランドの世界 ダグニー・タッガート(1) |
8. | ダグニー・タッガート(2) |
9. | ジェイムズ・タッガート(1) |
10. | ジェイムズ・タッガート(2) |
11. | フランシスコ・ダンコニア(1) |
12. | フランシスコ・ダンコニア(2) |
13. | フランシスコ・ダンコニア(3) |
14. | ラグネル・ダナショールド |
15. | ヘンリー・リアーデン(1) |
16. | ヘンリー・リアーデン(2) |
17. | ヘンリー・リアーデン(3) |
18. | ヘンリー・リアーデンの母(1) |
19. | ヘンリー・リアーデンの母(2) |
20. | フィリップ・リアーデン(1) |
21. | フィリップ・リアーデン(2) |
22. | リリアン・リアーデン(1) |
23. | リリアン・リアーデン(2) |
24. | アイヴィ・スターンズ |
25. | ジェス・アレン(1) |
26. | ジェス・アレン(2) |
27. | ジョン・ゴールト(1) |
28. | ジョン・ゴールト(2) |
29. | ジョン・ゴールト(3) |
30. | ジョン・ゴールト(4) |
31. | ジョン・ゴールト(5) |
32. | ジョン・ゴールト(6) |
33. | アイン・ランドの思想 |
34. | 『肩をすくめるアトラス』物語の多層性 |
35. | 『肩をすくめるアトラス』批判 |
36. | 『肩をすくめるアトラス』弁護 |
37. | 『海賊とよばれた男』との共通点 |
38. | 『海賊とよばれた男』との相違点 |
39. | アイン・ランドの日本人にとっての意義(1) |
40. | アイン・ランドの日本人にとっての意義(2) |
41. | アイン・ランドの日本人にとっての意義(3) |
「おまけ映像」として、講演後の参加者とのフリートークの様子も収録してあります(藤森氏の発言部分のみ)。
1. | アイン・ランドが描いた結社と今の日本 | 8分 |
ランドの思想を全面肯定はしない | ||
ネットで発信し続ける意味はやはりある | ||
『1984年』と『肩をすくめるアトラス』 | ||
結社がなければ生き難いこれからの日本 | ||
震災後の日本と重なる『肩をすくめるアトラス』の世界 | ||
ノブレス・オブリッジは幻想かもしれない | ||
2. | あまりにも他愛ない日本のエリートたち | 17分 |
職場で肩をすくめない女性たち | ||
考える人間がエリートにならない日本 | ||
自分の感情に不正直な人たち | ||
「軽い神輿」がトップに祭り上げられる | ||
3. | 『肩をすくめるアトラス』小説としての魅力 | 11分 |
ランドはエリート主義ではない | ||
『水源』の方が小説としての出来はいい | ||
『肩をすくめるアトラス』を読み通すのは大変 | ||
思想を伝えるための小説があってもいい | ||
ランドを読んだら他の小説は読めなくなる | ||
恋愛を創作のエネルギーにしたランド | ||
若い頃に読めば憧れの恋愛像 | ||
他人の献身を当然視するのは搾取 | ||
愛情と支配欲の区別がつかない人が関わりやすい職業がある | ||
安易にただでやらない大切さ |
この講演DVDは、特に次の方にお勧めします。
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藤森氏の講演を聞いてアイン・ランドに興味を持った方 |
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百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』に感銘を受けた方 |
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Webサイト「藤森かよこの日本アイン・ランド研究会」の「アキラのランド節」の更新をいつも楽しみにしている方 |
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藤森氏の文章を読むと元気が出てくる方 |
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福山市立大学、桃山学院大学、金城学院大学短大部、岐阜市立女子短期大学などで、藤森氏の薫陶を受けた方 |
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Facebook等での藤森氏の発言に興味を持った方 |
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小説『肩をすくめるアトラス』を読もうとして挫折してしまった方 |
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小説『肩をすくめるアトラス』を買おうかどうか迷っている方 |
上記に一つでも当てはまる方は、ぜひ、この講演DVDをお買い求めください。
当日講演に参加された方々からいただいた感想です。
藤森先生のスピーチの面白さと大作を翻訳された仕事人オーラとを感じながらのあっという間の4時間でした。アインランドの人間関係や人柄についての考察、キャステンィングの妙?とでもいうところもとても興味深く聞かせていただきました。 |
未読者・既読者双方にとって、『肩をすくめるアトラス』の世界を旅する場合のポイントを解説した、出発前説明会のような意義があったと思います。また、『海賊とよばれた男』についての話は、日本人の『アトラス』理解への補助線として溶け込んでいたような気がします。 |
今の世の中に置き換えてみても、どこぞの国の役人と業界団体と労働組合が結託して怪しげな法律でみせかけの平等を作り出していく件は身につまされる話と改めて感心しました。 |
藤森先生の講演は、上辺だけの理論や綺麗事は全くなく、本音を自分自身の実体験を織り交ぜながら平易な言葉で語ってくださるので、時間の経過を本当に早く感じます。 |
パワフルで、カリスマ性があり、鋭い弁舌。 |
『肩をすくめるアトラス』の引用文を参照しながらの詳細な解説はたいへん面白かった。未読の方はもちろんのこと、熟読している者にとっても新たな発見があり、刺激にみちた内容でした。また、アイン・ランドを日本人としてどう読むか、という視点は非常に重要だと感じました。 |
今回の講演会は、アイン・ランドの思想こそ現代日本に必要であるという藤森先生の熱い思いのみならず、同時に冷静な視点での問題点も指摘されている内容で、大変参考になりました。 |
DVDを購入された方からいただいた感想です。
私は恥ずかしながら、複数あるアインランドについての著書をまだ読んだことがなく、偉そうな口を叩くなと怒られてしまうと思いますが、藤森かよこ講演DVDを拝見させて頂き、このように感じました。「アインランドの本って、どんだけ面白いんだ??」と素直に好奇心を掻き立てられました。 |
当日の講演資料(モノクロ印刷24ページ)が同梱されています。
この講演DVDについては、あらかじめ次の点をご了承ください。
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プロジェクターを使用するために、会場の照明を落として撮影しています。このため、画面はやや暗めです。 |
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家庭用ビデオカメラを用いて撮影されています。このため、それほど高画質ではありません。 |
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音声はモノラルです。 |
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一部雑音が入っている箇所があります。 |
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アイン・ランドについてよくご存じない方は、Webサイト「藤森かよこの日本アイン・ランド研究会」の、次のコンテンツをお読みになった後で、このDVDをご覧になることをお勧めします。 ・「表紙のことば」 ・「はじめに」 ・「作品紹介」 ・「アイン・ランド年表」 |
この講演DVDの販売価格は次の通りです。
税込2,052円(税抜1,900円) 送料込 |
日本国外への発送について 日本国外への発送の場合は、別途、国外送料900円(税込)を申し受けます。 |
この講演DVDの購入方法は、次の通りです。
注文フォームに必要事項を記入し、送信してください(注文フォームはこちら)。
送信後まもなく、確認の自動返信メールが届きます。
領収書をご希望の場合は、注文フォームの「領収書」欄の「必要」にチェックマークを入れてください。
「郵便局止め」にも対応します ネットでのご住所の送信を差し控えたい方は、「郵便局止め」をご利用ください。 ご指定の郵便局にお送りします。 ●郵便局の検索はこちら |
原則として1営業日以内に、ゆうメールで発送いたします。
DVDには請求書が同封されています。
請求書に、代金の振込先口座が記載されています。商品到着後4週間以内にお振り込みください。
(振込手数料はご負担ください)
予約・注文をキャンセルされる場合は、メールでお申し出ください。
宛先:東京アイン・ランド読者会 佐々木 sasakiichiro@aynrandreaders.tokyo
商品の発送前であれば、手数料無料でキャンセルに応じさせていだだきます。
商品発送後のキャンセルの場合は、商品を開封前であれば、返品に応じさせていだだきます(返品時の送料はご負担ください)。
開封後の返品には、商品に不良があった場合を除き、応じられせん。
商品を開封後、「再生できない」「パッケージが割れている」等の不良が見つかった場合は、メールでお知らせください。
宛先:東京アイン・ランド読者会 佐々木 sasakiichiro@aynrandreaders.tokyo
商品到着後30日以内であれば、送料当方負担で、交換に応じさせていだだきます。
商品到着後30日を過ぎての交換には応じられせん。
最後に、この商品の概要です。
商品番号 |
DVDARD002 |
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タイトル |
藤森かよこ氏講演DVD 2 |
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収録日 |
2013年9月15日 |
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収録場所 |
東京都品川区 TKP目黒ビジネスセンター304号室 |
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ディスク |
片面2層DVD 1枚 |
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記録規格 |
DVD-Video |
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リージョン |
ALL |
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信号規格 |
NTSC |
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画面 |
16:9 カラー |
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音声 |
モノラル |
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収録時間 |
2時間47分 (講演本編2時間8分、おまけ映像38分) |
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販売価格 |
2,052円(本体1,900円、消費税152円) ※ネット販売限定価格 |
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制作年 |
2014年 |
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制作者 |
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備考 |
家庭用撮影・編集機材を用いて制作されているため、それほど高画質ではありません。 |